DXの進め方を整理する現状診断サービス
- FDEは、顧客や実際の利用部門と密接に協働し、課題の把握から設計・実装、本番利用まで技術面から推進するエンジニア
- プロトタイプの開発だけでなく、本番環境への導入まで関与するケースが多く見られる
- FDE=客先常駐ではなく、働き方や顧客との関わり方は企業・案件によって異なる
- AIに限定された職種ではなく、企業によって対象となる技術や担当範囲は異なる
- 一部の企業では、顧客現場で得た知見をプロダクトや研究開発へ還元する役割も担う
公開日:2026.09.08
更新日:2026.09.16

目次
2026年現在、「FDE(Forward Deployed Engineer)」という職種・役割が注目されています。
一方で、「具体的に何をするエンジニアなのか」「SEやプリセールスエンジニア、AIエンジニアとは何が違うのか」が分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。
FDEは企業によって仕事内容や位置づけ、担当範囲が異なります。
そこで本記事では、FDEという役割を先駆けたPalantirをはじめ、OpenAI、Anthropic、Snowflake、Scale AIの公式情報をもとに、各社が自社のFDEにどのような役割を与えているのかを比較します。そのうえで、FDEに共通する仕事内容や求められるスキル、プリセールスエンジニア・ITコンサルタント・SE・AIエンジニアとの違いを整理します。
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FDEは海外のテクノロジー企業で発展してきた役割であり、Palantirをはじめ、OpenAI、Anthropic、Snowflake、Scale AIなどでも採用されています。これらの企業の公式情報を横断して確認すると、顧客の課題を理解するだけでなく、解決策の設計や開発、本番環境への導入まで自ら技術的に関与する役割が多く見られます。
一方で、企業によって対象となる技術や顧客、担当範囲は異なります。そのため、「FDEとは必ず○○をする職種」と一律に定義するのではなく、顧客に近い立場で課題を理解し、自ら技術を使って解決まで推進する役割と捉えると理解しやすいでしょう。
「Forward Deployed」という名称から顧客先への常駐をイメージすることがありますが、FDE=客先常駐という意味ではありません。
たとえばOpenAIの東京FDEは、週3日のオフィス勤務を基本とするハイブリッド勤務で、必要に応じて出張する働き方です。
Anthropicでも、オフィス勤務と必要に応じた顧客先への出張を組み合わせています。FDEは勤務場所ではなく、顧客や利用現場と密接に協働しながら課題解決と技術実装を担う役割として捉える方が適切です。
FDEの起源を理解するうえで重要なのがPalantirです。Palantirは公式採用情報で、自社がForward Deployed Software Engineer(FDSE)という役割を先駆けたと説明しています。FDSEはPalantirの顧客と直接協働して課題を理解し、ソリューションを設計・実装します。
さらに特徴的なのが、顧客現場で得られた知見を自社プロダクトへ戻す考え方です。PalantirはForward Deployed Engineeringについて、顧客に近い場所で働くエンジニアとコアエンジニアリングチームが連携し、フィードバックを取り込みながら新しい機能を開発する手法と説明しています。
つまりPalantirにおけるFDEは、単に顧客向けの個別開発をするエンジニアではなく、顧客の課題解決とプロダクト開発をつなぐ役割でもあります。
FDEはPalantirで長く用いられてきた考え方ですが、現在ではOpenAI、Anthropic、Scale AI、Snowflakeなど、AI・データ領域の企業でもFDEやForward Deployed Engineeringという名称が使われています。
背景の一つとして考えられるのが、高度なAIやデータ基盤を提供するだけでは、顧客の業務で実際に使えるシステムになるとは限らないことです。
OpenAIはFDEについて、研究成果を本番システムへ変換するために顧客と協働し、技術スコープの設定からシステム設計、構築、本番展開まで担当すると説明しています。Scale AIも、企業向けAIについて、モデルそのものだけでなく、顧客環境に統合して本番で機能するシステムを構築することをForward Deployed Engineeringの役割として位置づけています。
こうした役割を「FDE」や「Forward Deployed Engineering」として設ける企業が確認されています。
企業によってFDEの仕事内容は異なりますが、今回確認した5社の公式情報では、FDEが顧客と直接協働し、次のような業務を担う例が確認できます。

FDEは、所属企業の顧客から決められた仕様を受け取り、そのまま実装するところから仕事が始まるとは限りません。顧客と直接コミュニケーションを取り、業務フローやデータ、既存システム、解決したい課題などを理解するところから関与するケースがあります。
例えばPalantirは、FDSEが顧客と直接働き、最も重要な問題を素早く理解すると説明しています。Anthropicも、顧客のワークフローを理解したうえで複雑なビジネス課題に対するソリューションを開発することをFDEの役割に挙げています。
課題を把握した後は、どのような技術で解決するかを設計し、必要に応じてプロトタイプを開発します。
OpenAIのFDEでは、discovery(課題探索)、technical scoping(技術スコープの策定)、system design(システム設計)、build(開発) までを担当範囲として明示しています。またScale AIでも、顧客の課題をエンジニアリング上の解決策へ変換し、フロントエンドからバックエンド、インフラまで開発する役割が示されています。
FDEの大きな特徴として複数社に共通しているのが、プロトタイプを作るだけでなく、本番環境への導入まで関与していることです。
OpenAIは、最初のプロトタイプ開発から安定した本番環境への導入までをFDEの担当範囲として示しています。Anthropicも、顧客システム内で本番利用されるアプリケーションを構築することをFDEの業務として明記しています。
Scale AIでも、本番利用を前提としたAIシステムの構築・展開がForward Deployed Engineeringの役割に含まれています。
そのためFDEでは、技術的に実現可能であることを確認するだけではなく、セキュリティや既存システムとの連携、信頼性、運用なども考慮した実装が求められる場合があります。
本番導入後も顧客との関係を継続し、利用状況や成果を確認しながら改善に関与するFDEもいます。
OpenAIは、FDEの成果を「本番環境で実際に利用されているか」「業務フローにどの程度の効果を与えたか」といった観点で捉えており、
Anthropicも顧客との長期的な関係を築き、エンゲージメントのライフサイクルを通して新たなAI導入機会を見つけることを役割に挙げています。
ただし、内製化支援や運用定着までがすべてのFDEに必須というわけではありません。 担当範囲は企業やプロジェクトによって異なります。
一部のFDEでは、顧客の現場で得た知見を自社のプロダクト部門、エンジニアリング部門、研究部門などへ還元することも重要な役割です。
Palantirは、顧客からのフィードバックをプロダクト開発へ取り込むForward Deployed Engineeringの仕組みを説明しています。OpenAIも、FDEが現場から得たフィードバックを研究部門やプロダクト部門へ共有し、モデルやプロダクトの改善につなげるとしています。
Anthropicでも、繰り返し活用できる導入パターンを整理し、プロダクト部門やエンジニアリング部門へ知見を還元することを明記しています。Scale AIも、顧客案件から得たパターンを再利用可能なプラットフォーム機能へ変えることをForward Deployed Engineeringの役割として掲げています。
ただし、今回確認した一次情報では、この役割の明示度には企業差があります。そのため、「すべてのFDEが必ずプロダクト開発へフィードバックする」とまでは一般化しない方が適切です。
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FDEは共通した職種規格があるわけではなく、企業によって対象となる技術や顧客、担当範囲が異なります。
そこで、Palantir、OpenAI、Anthropic、Snowflake、Scale AIの5社について、各社の公式情報をもとに
の4つの観点で比較します。
各社出典=Palantir:「Forward Deployed Software Engineer」↗「Architecture Center - Overview」↗ OpenAI:「Forward Deployed Engineer - Tokyo」↗ Anthropic:「Forward Deployed Engineer」 ↗ Snowflake:「Agentic Intelligence for Contract Review on Snowflake」↗Scale AI:「Forward Deployed Engineer, GenAI」↗「Director, Forward Deployed Engineering」↗
Palantir、OpenAI、Anthropic、Snowflake、Scale AIの5社の公式情報を横断すると、具体的な仕事内容には違いがあるものの、FDEには大きく4つの共通点が見られます。

※ここでいう「顧客に近い場所」とは、顧客先への常駐を意味するものではなく、顧客や利用現場と密接に協働する関係性を表しています。
所属企業の顧客と直接コミュニケーションを取り、課題や業務を理解しながらプロジェクトを進めます。
提案や助言だけでなく、ソフトウェア、AIアプリケーション、データ基盤などを自ら設計・構築する役割が確認できます。
プロトタイプの開発だけで終わらず、実際の業務で利用できる状態まで実装・導入する役割が確認できます。
顧客や利用現場で得た技術的な課題、ユースケース、フィードバックを自社のプロダクト部門やエンジニアリング部門などへ還元し、製品や開発の改善につなげる役割も確認できます。
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FDEは、プリセールスエンジニアやITコンサルタント、SE、AIエンジニアと一部の業務が重なります。
明確に排他的な職種ではないため、ここでは「どちらが優れているか」ではなく、主な役割の違いから整理します。
※職種名や担当範囲は企業によって異なるため、上表は一般的な役割を整理したものです。
プリセールスエンジニアは一般に、営業活動を技術面から支援し、顧客の課題に対する製品・システムの提案や技術検証を行う役割です。
一方、今回確認したFDEでは、顧客への提案にとどまらず、FDE自身が本番システムの設計・開発・展開まで担当するケースが多いことが違いとして挙げられます。
ただしプリセールス側が導入支援や実装まで担当する企業もあるため、両者の境界は企業によって異なります。
ITコンサルタントは、顧客のIT戦略や情報化に関する課題を整理・分析し、解決策を検討・提案する役割です。
FDEも顧客課題の整理を行いますが、今回確認した5社のFDEでは 、課題整理に加えて自らコードを書き、システムやアプリケーションを構築することまで役割に含まれている点が特徴です。
一方、ITコンサルティングでも実装まで一貫して支援するケースがあるため、「コンサルタントは実装しない」と単純に区別することはできません。
SE(システムエンジニア)は、システムの設計・開発などを担うエンジニアです。対象となるシステムや担当工程は企業・職種によって大きく異なります。FDEとSEを整理するうえでポイントになるのは、技術分野そのものより、顧客との関わり方を含めた役割設計です。
FDEでは、顧客の課題を理解するところから入り、その顧客固有の課題を技術で解決することを役割の中心に置く企業が多く見られます。そのため、FDEとSEは排他的な概念ではなく、仕事内容が大きく重なる場合もあります。
AIエンジニアは、AIや機械学習という技術領域を軸にした職種です。厚生労働省のjob tagでは、AIの活用に関する研究開発や、ディープラーニングなどを用いたAI処理を実現するエンジニアとして整理されています。
一方、FDEは主に顧客に対してどのような役割を担うかという観点で定義されている名称です。
したがって、
AIエンジニアであり、同時にFDEでもある
ということは成立します。
実際にPalantirでは「Forward Deployed AI Engineer」という職種があり、顧客と直接協働して生成AIの戦略・実装を担当し、ワークフローを構築して本番環境へ展開する役割が設けられています。

今回確認した5社のFDE求人を見ると、各社が自社のFDEに求めているのはエンジニアリングスキルだけではありません。顧客と直接協働しながら課題を理解し、プロジェクトを前に進める能力も重視されています。
FDEは顧客向けの技術提案だけを行う役割ではなく、自ら開発を担うケースが多いため、ソフトウェアエンジニアリングのスキルが重要です。
PalantirではPython、Java、C++、TypeScript/JavaScriptなど、OpenAIではPythonやJavaScriptなど、AnthropicではPythonを中心としたプログラミングスキルを求めています。
AI・データ関連企業のFDEでは、LLM、AIエージェント、データエンジニアリング、クラウドなどの知識も求められます。
OpenAIやAnthropicではLLMを活用した本番システムの構築経験、Scale AIでは大規模データ処理や分散システム、機械学習・AIに関する知識や経験が求められています。
ただし、FDEはAIエンジニアに限定される職種ではありません。 必要となる技術領域は企業のプロダクトや担当プロジェクトによって変わります。
FDEには、所属企業の顧客から受け取った技術要件をそのまま実装するだけでなく、「顧客が本当に解決したい問題は何か」を理解する力も必要です。
Palantir、OpenAI、Anthropic、Scale AIはいずれも、顧客と直接関わりながら課題やワークフローを理解することをFDEの重要な役割として挙げています。
FDEが扱う案件では、最初から要件や正解が決まっているとは限りません。
Palantirの採用情報では、プロジェクトが「なぜ顧客を失っているのか」といった曖昧な問いから始まるケースを紹介しています。OpenAIやAnthropicも、ambiguity(曖昧さ・不確実性)のある状況で複雑なシステムを提供できる人材を求めています。
そのため、与えられた仕様を処理するだけでなく、課題そのものを構造化して解決方法を考える能力が重要になります。
FDEは、顧客側のエンジニアや業務担当者に加え、自社のプロダクト企画・開発部門、研究部門、営業部門など、さまざまな関係者と連携します。 技術的な内容を非エンジニアにも伝えながら、優先順位を整理し、顧客と自社の双方をつないでプロジェクトを前に進める能力が求められます。
ここまで見てきたFDEの役割をDX推進の観点から整理すると、主に次の3つの特徴があります。
新しいAIやデジタル技術を検証しても、本番導入には既存システムとの連携、データ整備、セキュリティ、運用設計など多くの課題があります。
FDEでは、同じ役割のエンジニアがプロトタイプから本番導入まで関与するモデルが複数社で確認できます。
そのため、技術検証と本番実装が分断されにくい体制を作りやすい点は、FDEの特徴といえます。
DXでは、「業務上は重要だが技術要件に落とし込めない」「技術的には実装できるが現場で使われない」といったギャップが生じることがあります。
FDEは顧客の業務や課題を理解すると同時に、自ら技術実装も担います。
ビジネス課題と技術実装の間を一つの役割でつなげることができる点は、FDEの特徴です。
実際にシステムを利用する現場へ近づくほど、事前には分からなかった課題や要件が見つかることがあります。
Palantir、OpenAI、Anthropic、Scale AIでは、FDEが現場で得た知見をProduct・Engineering・Researchへ戻す仕組みが明示されています。
こうしたフィードバックループを作ることで、個別の顧客課題の解決だけでなく、プロダクトやシステムそのものの改善につなげられる可能性があります。
ここでは、FDEによる支援を受ける顧客企業の視点で整理します。今回確認した5社のFDEの役割を踏まえると、FDEの活用は特に次のような企業・プロジェクトと相性がよいと考えられます。
一方で、仕様や要件が明確に決まっており、その通りにシステムを構築することが主目的であれば、必ずしもFDEを活用する必要はありません。
重要なのは「FDEという名称かどうか」ではなく、自社が抱える課題に対して、どの範囲まで技術パートナーに関与してもらう必要があるかを見極めることです。
FDEは「Forward Deployed Engineer」の略です。顧客や実際の利用部門と密接に協働し、業務や課題を理解したうえで、解決策の設計・実装、本番利用まで技術面から推進するエンジニアを指します。
FDE=必ずしも顧客先への常駐ではありません。顧客と近い距離で協働することはFDEに共通して見られる特徴ですが、実際の働き方は企業や案件によって異なります。例えば、オフィス勤務を基本とし、必要に応じて顧客先へ出張する企業もあります。
FDEとSEは排他的な概念ではなく、仕事内容が大きく重なる場合もあります。FDEでは、顧客の課題を理解するところから入り、その顧客固有の課題を技術で解決することを役割の中心に置く企業が多く見られます。
FDEはAIだけに限定された職種ではありません。企業によって、ソフトウェア開発、データ基盤、AI・機械学習など対象となる技術領域は異なります。近年はOpenAIやAnthropic、Scale AIなどAI関連企業でもFDEが採用されています。
内製化支援や運用定着までが、すべてのFDEに必須というわけではありません。導入後の担当範囲は企業やプロジェクトによって異なります。
FDE(Forward Deployed Engineer)は、顧客や実際の利用部門と密接に協働し、業務や課題を理解したうえで、自ら技術的な解決策を設計・実装し、本番利用までつなげるエンジニアです。
Palantir、OpenAI、Anthropic、Snowflake、Scale AIの公式情報を横断すると、
という点が共通して確認できます。
さらに複数の企業では、顧客現場から得られた知見をプロダクトや研究・開発組織へ還元する役割もFDEに与えています。
一方、担当する技術領域や支援範囲、働き方は企業によって異なるため、FDEを一つの固定的な職種として捉えるのは適切ではありません。
AIやデータ活用が高度化するなかで、「技術を提供するだけではなく、顧客の業務に合わせて実際に使える状態まで実装する」というFDEの役割は、DXを推進するうえで一つの選択肢となります。
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