近年、日本企業でもDXや生成AIの導入が進む一方 、「ツールを導入したものの業務定着に至らない」「PoCから本番導入へ進めない」といった課題が生じるケースがあります。こうした課題へのアプローチの一つとして、FDE(Forward Deployed Engineer)が注目されています。
FDEのなかでも支援方法はいくつかありますが、そのなかでも「リモートだと物足りない」「現場と密に連携してほしい」といった企業向けなのが、「常駐型」です。
本記事では、常駐型のFDE支援を検討している企業向けに、常駐型FDEの支援会社を4社紹介。各社の支援領域や特徴、常駐対応、FDE支援会社を選ぶ際のポイント、費用対効果の考え方まで解説します。
ただし企業によって役割や支援方法は異なり、「FDE=顧客先への常駐」を意味するわけではありません。
FDEの詳しい仕事内容や、Palantir・OpenAIなど各社における役割、類似職種との違いについては以下で詳しく解説しています。
生成AIやSaaSなどの活用が広がる一方、ツールを導入しただけでは業務への定着や本番運用まで進まないケースがあります。
こうした中で、顧客の業務を理解しながら、技術の選定・実装・導入後の改善まで現場に近い立場で支援するFDEという役割が注目されています。
その背景として、主に以下の3点が挙げられます。
生成AIやSaaSを導入しても、各社固有の業務フローや既存システムとの連携、例外処理などに対応できず、十分に活用されないケースがあります。
FDEは、顧客の業務を理解したうえで、AI、API連携、業務アプリ、RPAなど必要な技術を組み合わせ、実際の業務で使える形へ実装・調整していく役割を担います。そのため、製品や技術を導入するだけでは埋めにくい、現場とシステムの間のギャップを解消する支援として活用されています。
業務自動化の手段の一つとして、生成AIとRPAを組み合わせる方法もあります。
詳しくは以下の記事で解説しています。
FDEが注目される理由の一つは、技術検証だけで終わらず、現場で使える形に実装し、本番導入まで進める役割を担える点です。
AI・DXプロジェクトでは、ユースケースの検証までは進んでも、実際の業務フローへの組み込みや運用体制の整備が進まず、本番導入に至らないことがあります。
FDEは顧客の現場と対話しながらプロトタイプを作り、実際の業務で検証・改善を重ねながら、本番環境への実装を進めます。PoCで得た検証結果を実際の業務へつなげやすいことが、FDEを活用するメリットの一つです。
FDE支援が注目されるもう一つの理由は、実装だけでなく、運用定着やノウハウ移転まで支援するサービスがあり、外部依存の低減につなげやすい点です。
外部企業にシステム開発や運用を任せ続けると、社内にノウハウが蓄積されず、継続的に外部支援が必要になる場合があります。
FDE支援の中には、マニュアル整備やスキルトランスファー、運用設計などを通じて、顧客企業が自社で運用・改善できる状態を目指すサービスもあります。将来的な内製化を重視する場合は、こうした支援まで含まれているかを確認することが重要です。
2026年現在の常駐支援型FDE支援会社4社を紹介します。
※本内容は2026年9月時点の情報です。最新情報は各公式ページでご確認ください。
株式会社renueのFDEは、顧客の現場で課題を把握し、業務設計からAI・業務アプリ・データ連携の実装、導入・運用定着までを担います。
特徴は、AIをモジュール単位で毎週リリースし、現場ユーザーが実業務で使えるかを確認しながら改善を進める点です。さらに、自社で実証済みのAIエージェント資産を活用することで、ゼロから開発する範囲を抑えています。
外資系IT出身のメンバーを中心に、各メンバーがAI開発とPMOの両方を担う点も特徴です。
| 企業名 | 株式会社renue |
|---|---|
| 主な対応領域 | 現場理解、業務設計、AI・業務アプリ開発、データ連携、導入・運用定着、内製化支援 |
| 公式サイト | https://renue.co.jp/ |
ティースリー株式会社の「AI BANSOU DRIVE」は、FDEの思想を取り入れたAI実装支援サービスです。専属担当がAI戦略の立案、業務フロー設計、自動化ツールの開発、マニュアル整備・引き継ぎまで実行。常駐・リモートの双方に対応し、パートタイムでは週2日程度から支援を受けられます。
| 企業名 | ティースリー株式会社 |
|---|---|
| 主な対応領域 | AI戦略、業務可視化・フロー設計、AI活用、自動化ツール開発、KPI設計、マニュアル整備、内製化・引き継ぎ |
| 公式サイト | https://ai-bansou-drive.t-tthree.com/ |
アンドドットは企業・行政・地域のDX/AX支援を展開しています。常駐型FDEでは主にエンタープライズの業務DXを対象とし、課題発見から実装、運用定着までを一気通貫で支援しています。
独自の「FDEジャーニー」で改善プロセスを4段階に体系化し、本社の「AndDot Knowledge」から設計パターンやセキュリティ・業界知見等の共有を受けながらの後方支援体制が特徴です。
| 企業名 | アンドドット株式会社 |
|---|---|
| 主な対応領域 | 課題発見・構造化、解決策の選定、AI・システム開発、プロジェクト管理、運用・定着、DX・AX |
| 公式サイト | https://www.and-dot.co.jp/lp/fde |
シンオン株式会社は、AI領域の支援として週1〜5日で顧客の現場に入り、業務理解からAI・システムの実装、社員への定着、内製化まで一気通貫で支援します。生成AI・ローカルAIの導入、データ・システム連携、業務システムの設計・構築にも対応し、最終的に顧客企業が自走できる状態を目指す点が特徴です。 大阪を拠点としており、関西密着型の企業です。データは社外に出さないことに重きを置いている特徴があります。
| 企業名 | シンオン株式会社 |
|---|---|
| 主な対応領域 | AI導入・活用、常駐型開発、データ・システム連携、業務システム設計・構築、定着・内製化 |
| 公式サイト | https://synon.co.jp/fde |
FDEに共通する特徴の一つが、顧客の現場に深く入り込み、業務課題の整理から実行・定着まで伴走することです。コクーでも、こうした「現場に深く入り込む常駐伴走支援」を強みとして、業務課題に応じてデジタル人材や各種DXソリューションを組み合わせ、課題整理から実行、定着や内製化支援まで一気通貫で支援。FDEのアプローチを重視しています。
コクー株式会社は女性活躍推進に注力しており、デジタルスキルを習得した女性の正社員が顧客の現場へ常駐支援します。AIやRPA、データ整備などを顧客のニーズに合わせて最善の手法を取り、業務プロセスを最適化するとともに、内製化支援の強みがあります。AIだけでなく、そもそも業務課題がどこにあるかの診断やコンサルティングも実施。
| 企業名 | コクー株式会社 |
|---|---|
| 主な対応領域 | DXコンサルティング、DX推進、AI・RPA・BI・データ整理・デジタルマーケティング・ITインフラ、ローコードツール(kintone・タレントパレット・CELF・smartDB)運用代行、人材育成 |
| 公式サイト | https://cocoo.co.jp/ |
FDEは顧客の現場に深く入り込み、業務課題の把握から設計・実装、本番導入やその後の改善まで一貫して関わることが特徴です。ただし、「FDE=顧客先への常駐」を意味するわけではありません。
実際の働き方や支援方法は企業・プロジェクトによって異なります。FDEが顧客先に常駐して支援するケースもあれば、定期的な訪問とリモートでの開発を組み合わせるケースもあります。また、OpenAI社やLayerX社などの事業会社がFDEを自社で採用し、自社の技術やプロダクトを活用しながら顧客ごとの課題解決や導入・実装を担わせるケースもあります。
そのほか、FDEを自社で採用・活用する企業によって、課題解決に用いる技術やプロダクトにも違いがあります。例えば以下のような特徴があります。
常駐型FDE支援会社を選ぶための5つの判断基準を紹介します。
製造業、財務会計、RPA/業務自動化、建設現場など、自社が変革したい領域におけるドメイン知識や適合性の高いプロダクト・技術アセットを持っているかが第一関門です。
優秀なFDE組織は、プロジェクトの最終ゴールを「自社社員がシステムやツールを維持・改善できる状態」に設定します。契約書や提案書にコード・シナリオの引き継ぎやノウハウ移転の計画が含まれているか確認しましょう。
「何人・何ヶ月稼働させます」という工数提案しか出さない会社ではなく、「業務プロセスにおける工数を何%削減できるか」「定着率をどこまで引き上げるか」といったビジネス成果に直結するKPI設計から関与してくれる会社を選びましょう。
FDEは顧客の現場に入り、業務フローや制約、利用者が抱える課題を把握したうえで解決策を設計・実装するため、技術力だけでなく、ヒアリング力や課題を構造化する力、関係者との合意形成力も重要です。
業務部門と技術部門の双方とコミュニケーションを取れるか、技術的な制約や選択肢を非エンジニアにも分かりやすく説明できるか、実装後も現場のフィードバックを取り入れて改善できるかを確認しましょう。UI/UXが重要な案件では、実際の利用者が使い続けられる設計まで対応できるかも確認ポイントです。
FDEは機密性の高い社内データを直接取り扱います。既存の基幹データベースやクラウド環境と安全に連携できるセキュリティポリシーおよび技術スタック(Python、SQL、API連携、RPA設計等)を有しているか事前に検証してください。
FDE支援は、月額単価だけでは費用対効果を判断できません。単価が低くても、現場に定着しない、本番導入までに手戻りが増える、契約終了後も継続的に外部支援が必要になる場合は、結果として総コストが膨らむ可能性があります。
FDE支援の費用対効果は、
など、導入目的に応じたKPIで評価します。
短期的な支援費用だけでなく、導入後に社内へ残る仕組みやノウハウも含めてROIを判断することが重要です。
FDE支援の導入前に多く寄せられる疑問(適用範囲、失敗事例)に対する回答をまとめました。
A. はい。FDEはAIに限定された役割ではありません。支援会社によって対応範囲は異なりますが、業務システムの開発、SaaSや基幹システムとのデータ連携、RPAによる業務自動化、業務フローの改善などにも活用されています。
FDE支援会社を選ぶ際は、特定の技術ありきではなく、自社の業務課題に応じて適切な技術や解決方法を選択できるかを確認しましょう。
A.社内にIT・AI人材が不足している企業や、PoCまでは進んだものの本番導入・定着まで進められていない企業に向いています。特に、業務理解と技術実装の両方が必要な課題では、FDEの強みを活かしやすいです。
A. 主な失敗パターンは以下の3点です。
FDEは、顧客の業務や課題を深く理解し、設計・実装・本番導入までを技術面から伴走する役割です。支援内容や働き方は企業によって異なるため、FDE支援会社を選ぶ際は、現場への関与度、得意領域、技術・プロダクトの適合性、内製化支援の有無、セキュリティ要件などを比較しましょう。
外注選定の際は、単なる料金の安さや知名度で比較するのではなく、彼らが「現場に入り込み、課題を自律的に特定し、成果に責任を持つプロセス」を持っているかを慎重に見極めることが、DX成功への最速の近道となります。